技術解説
赤血球抵抗試験
山本 きよみ
1
,
三輪 史朗
2
,
米原 ヤス子
1
1山口大学病院輸血部,検査部
2山口大学・第3内科
pp.125-133
発行日 1978年2月15日
Published Date 1978/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914660
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赤血球は120日間生存するが,生存日数が120日間より短いときは赤血球寿命短縮と呼ばれ,溶血の亢進がその原因とされている.この溶血亢進の原因には種々あるが,赤血球自体に原因を求められる場合と血漿成分中に原因が発見される場合とがある.ここでは前者について述べてみると,赤血球自体の病変による溶血亢進は先天性と後天性とに分けられるが,先天性溶血性貧血には,赤血球膜の異常で起こる遺伝性球状赤血球症や異常血色素症,赤血球内酵素異常症などがあげられる.それぞれには特異的検査法,すなわち遺伝性球状赤血球症では赤血球抵抗試験,異常血色素症でも特に溶血を起こす不安定血色素症はヘモグロビン熱変性試験,赤血球内酵素異常は赤血球内の酵素を定性定量的に測定してその成績から病気の診断を行うが,ここでは赤血球抵抗試験の検査方法1〜4)のみを取り上げる.
そもそも赤血球は,低張食塩溶液中ではディスク状の形態であったものが,赤血球内部への水分の侵入によりしだいに球状に変化していき,やがて赤血球自体は破壊し内容物が外部へ出てゆく.遺伝性球状赤血球症においては,最初から赤血球自身が球状であるために食塩(以下NaCl)濃度溶液の系列において,正常の場合より高張のところでも溶血を生じ,これを最小抵抗が低下していると言う.
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