今月の主題 血小板の臨床
血小板の臨床
特発性血小板減少性紫斑病の治療方針
野村 武夫
1
Takeo Nomura
1
1日本医科大学・第3内科
pp.1678-1679
発行日 1983年10月10日
Published Date 1983/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218461
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特発性血小板減少性紫斑病(ITP)には急性と慢性の両病型がある.急性ITPは小児に多くみられ,しばしば急性上気道炎などウイルス感染症が先行し,症例の90%は数週から,おそくとも数カ月すれば自然に治癒する.一方,慢性ITPは20〜40歳台の女性に好発する疾病で,治療を行わずに自然に寛解することはほとんどない.しかし,急性と慢性の病型鑑別は,初診当時には必らずしも容易ではなく,経過を追跡してはじめて可能となる場合がある.
また,急性ITPはやがて自然に治癒するからといっても,強い出血症状があれば,そのまま放置して経過を観察するわけにはいかない.それゆえ,明らかな出血症状を伴うITPは,急性と慢性のいかんを問わず,治療の対象となるのであるが,その際,急性と慢性のどちらに属する症例であるかを常に念頭に置いて治療を行う必要がある.
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