新しいキットの紹介
CPKアイソエンザイムの分離測定
岡部 紘明
1
,
伊藤 繁子
1
,
提坂 和代
1
,
野間 昭夫
1
,
岩崎 勤
2
,
松下 哲
2
,
蔵本 築
2
1東京都養育院付属病院研究検査部
2東京都養育院付属病院内科
pp.894-897
発行日 1977年8月15日
Published Date 1977/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914451
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緒言
クレアチンホスフォキナーゼ(CPK)は骨格筋,心筋,平滑筋及び脳に分布し,血清中のCPK活性は進行性筋ジストロフィー,多発性筋炎その他の筋肉疾患,心筋梗塞発作後1),脳血管障害の急性期などに上昇し,また筋肉内注射によっても活性の上昇が認められる2).このように活性測定は臓器診断的特異性という点で十分ではないが,近年CPKアイソエンザイムの分離測定が可能になってきたので,特に心筋梗塞の際の有力な診断法として用いられてきている.血清中には主として3つのアイソエンザイムが知られていて,電気泳動上アルブミンとほぼ同じ移動度を示すBB (脳型),γ-グロブリンとほぼ同じ移動度のMM (筋型),また両者の中間位でβ-グロブリンとほぼ同じ態度を示すMB (心筋型)である.これらのアイソエンザイムの分離法としては電気泳動による方法があるが3),これは装置,時間及び定量性という面で欠点を有している.これに対しイオン交換樹脂による分離法が開発され4,5),これは特別な装置を必要とせず,簡便な方法であるが,希釈されるので,分離後の活性測定に問題があった.今回イオン交換樹脂による分離後の活性測定法に改良を加えた試薬を取り入れたキット(藤沢メディカルサプライ,Worthington社製)を用いて,CPKアイソエンザイムの分離測定の検討を試みたのでその結果を報告する.
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