アイソエンザイム・1【新連載】
アイソエンザイム総論
玄番 昭夫
1
1中央鉄道病院中央検査室
pp.71-75
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911132
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アイソエンザイムとは
アイソエンザイム(isoenzyme),あるいはアイソザイム(isozyme)とは,一言で言うと"酵素の複数形"のことであり,これは同一生物種内に自然発生した同じ酵素活性を有する酵素蛋白のことである.ただここで問題になるのは,この酵素の複数形が自然発生学的過程のどの段階で生成されたものであるかという点である.すなわち遺伝学的に酵素蛋白の一次構造が決定されるときに酵素の複数形が生じたのか,あるいはその決定された後に複数形になったのかという点である.
国際生化学連合の生化学命名委員会(CBN)の勧告案では前者,つまり一次構造に遺伝学的に決定された差をもって生じた酵素の複数形のことをアイソェンザイムと定義している。確かに遺伝学的な酵素の複数形と,その後に生じた酵素の複数形とは,その起原を異にするという点では全く違うものである,しかしその起原のいかんを問わず,生体内で自然発生した酵素の複数形が,生体機能を最大に発揮させる目的のために複数化したものであれば,生理学的機能という面における両者の差はそれほど大きなものとは考えられない.更に臨床的にアイソエンザイムを取り扱う場合には単なる現象として疾患との結び付きを見ていくにすぎず,このことと,自然発生学的事柄とはほとんど関係ないものになってしまう.
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