今月の主題 免疫血液学検査法の進歩
抗体の検出
抗lgA抗体の検出
小沢 直宏
1
Naohiro OZAWA
1
1東京都立駒込病院輸血科
pp.655-660
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913669
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抗IgA抗体は,血清成分による輸血副作用の原因としてはもっとも重要なものの一つである.抗IgA抗体の種類としては,クラス特異性の抗α,サブクラス特異性の抗α1と抗α2,アロタイプ特異性の抗A2m (1)と抗A2m (2)の各抗体がある.これらの抗IgA抗体は同種抗体であり,抗α抗体はIgA完全欠損例のみにしか産生されないが,抗α1,抗α2抗体はおのおののIgAサブクラス欠損例に,抗A2m (1),抗A2m (2)は正常のIgAをもつ例にも産生される.
以上すべての抗IgA抗体をスクリーニングするには三種類のIgA感作血球—IgA1,IgA2〔A2m (1)〕,IgA 2〔A 2m (2)〕—を用いる必要がある.スクリーニングによる抗IgA抗体陽性検体の抗体の同定には,これら三種類のIgA感作血球の凝集状況,すなわち,①三種類すべてが凝集した場合,②IgA 1感作血球だけ凝集した場合,③IgA 2〔A 2m (1)〕とIgA 2〔A 2m(2)〕の二種類の感作血球が凝集した場合,④IgA1は陰性であるが,IgA 2〔A 2m (1)〕かIgA2〔A2m (2)〕のどちらか一方が凝集した場合,とがあることから,①と②と③については吸収試験とHI法を組み合わせて行い,④についてはHI法を行うことが必要とされる.
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