特集 生検の進歩
II 生検に応用できる技術
4 高性能画像解析法—画像解析装置の開発と応用
吉見 直己
1
,
日野 晃紹
2
,
鬼束 惇義
2
,
高橋 正宜
3
Naoki YOSHIMI
1
,
Akitsugu HINO
2
,
Atsuyoshi ONITSUKA
2
,
Masayoshi TAKAHASHI
3
1岐阜大学医学部第一病理学教室
2岐阜大学第一外科学教室
3(株)スペシァルレファレンスラボラトリー(SRL)八王子ラボラトリー,岐阜大学医学部第一病理学教室
pp.1369-1376
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913494
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はじめに
生物医学の研究分野において画像解析は主に細胞学的および組織学的応用に使われてきた1,2).特に病理学の分野では細胞,組織の形態を追求する面において,画像解析の応用に最適な分野である.とりわけ病理診断の良性・悪性の判別は,病理医の豊富な経験に基づく主観的判断によってなされており,時に異なった診断のもたらされるおそれもある.そのため,病理学に定量性が求められてきており3),最近では悪性細胞分別パターンの定量的評価の一つとして,細胞核DNA量の測定は生検材料でのルーチンの診断にも利用されている4).
こうした核DNA量測定を含めた病理学的定量的検索法は,現在,方法論的に主に二つに大別される.第一の方法は,フローサイトメトリー(flow cytometry:FCM)による方式であり(本号の別項参照;1363頁),第二の方法は顕微鏡を介する画像解析法で,特にDNA定量には顕微測光法が従来から用いられている.現在,顕微鏡測光法は可視光吸光測光法から,特異性に優れた蛍光測光法が主流となっている(別項参照:1355頁).この二つの方法を比べれば,精度,スピードなどの実用性の面からFCMのほうがやや勝っているようである.しかし,電子工学の発展,特に記憶素子の分野の発展は膨大な画像データの記録に関して飛躍的進歩を保証し,画像解析は精度,スピード面においてもFCMと同等の力を有するようになってきた.
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