特集 生検の進歩
II 生検に応用できる技術
5 癌遺伝子—1 ウイルス誘発腫瘍と癌遺伝子
松田 道行
1
,
椙村 春彦
2
,
保井 孝太郎
3
,
浦野 順文
2
Michiyuki MATSUDA
1
,
Haruhiko SUGIMURA
2
,
Kotaro YASUI
3
,
Yoshinori URANO
2
1国立予防衛生研究所病理部
2東京大学医学部病理学教室
3東京都神経科学総合研究所微生物研究部
pp.1377-1383
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913495
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はじめに
最近の癌研究の飛躍的進展が,分子生物学の発達と,その技術を駆使した,腫瘍ウイルスの研究に端を発していることは,あらためていうまでもない.しかし,実験動物においてこそ,ウイルスにより引き起こされる腫瘍は数多く知られているが,ヒトにおいてはウイルスの関連が明らかな腫瘍はごく少数である.実際にヒト腫瘍の発生にはウイルスはあまり関与していないかもしれないが,これまでの抗原抗体反応を用いてのウイルス検索方法ではウイルスを見逃してきた可能性もあると思われる.
本項ではまず,現在,ヒトの腫瘍に関連すると想定されているウイルスと,その腫瘍誘発のメカニズムについて簡単に紹介し,次に本項の主題であるDNAプローブを用いて,生検材料,手術材料にどのようなアプローチができるかについて述べたい.
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