検査ファイル
画像解析装置の病理組織学への応用
菅原 修
1
1三井記念病院病理科
pp.925
発行日 1994年10月1日
Published Date 1994/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902153
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病理医が顕微鏡を用いて,病理組織学的診断を行う場合に最も重要なのは,病変の悪性,良性の区別である.その際判断の基準になっていると考えられるのは,細胞および組織構築の異型であり,腫瘍細胞の密度,腫瘍細胞の分化度,腫瘍細胞の多形性,核分裂像,壊死の有無などが問題となる.電子計算機によって顕微鏡から得られる画像を処理することができるようになってから良性悪性の基準を客観化しようとする試みが多くなされてきている.特に消化管や肝臓では,悪性上皮性腫瘍の客観的な指標を得るための研究が多くみられる.
具体的には,顕微鏡から得られる画像を処理することによって比較的容易に計測できる指標としては,腫瘍細胞の密度,腫瘍細胞核の面積および真円度および後二者の変動係数などがある.細胞の核面積が大きいと悪性である可能性が高いと一般に考えられている.また,真円度は形がどの程度円に近いかということを数値化したもので,もし腫瘍細胞核が細長ければ,その真円度は小さくなる.一般に上皮系腫瘍では,核が丸くないほうが悪性である可能性が高いと考えられている.また,面積の変動係数が高いと,核の大小不同が大きいことになり,核の真円度の変動係数が高ければ,核に多形性がある,すなわち形のばらつきが大きいことになる.
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