特集 生検の進歩
II 生検に応用できる技術
1 免疫組織化学—2 細胞診
長村 義之
1
Yoshiyuki OSAMURA
1
1東海大学医学部病理学教室
pp.1343-1349
発行日 1987年10月30日
Published Date 1987/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913488
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近年,免疫組織化学的手法が病理組織検査に応用されており,パラフィン切片を中心に,①ホルモン,②血清蛋白,③免疫グロブリン,④腫瘍マーカー,⑤病原体,など多岐にわたる抗原の観察が行われてきている.また,モノクローナル抗体の活用も盛んに行われており,凍結切片を使用することによってのみ検出可能な抗原(例えばLeu,OCTシリーズ)も知られている.これらの抗原は,実際の病理診断において①確定診断への応用(腫瘍か否か),②腫瘍などの細分化への応用—上皮性か非上皮性か,③腫瘍の機能診断への応用—ホルモン産生,④腫瘍の予後,治療効果判定への応用,などに利用され,さらに個々に用いられるべき抗原,いわゆる<マーカー>も判明している.
細胞診においても,最近,種々の検体を対象に,免疫組織化学的手法により観察が行われ,実際の診断に応用されてきている.これまでにスメアにおける染色手技は,光顕・電顕的にも確立されており,種々の抗原が安定して検出されている.ここでは,これまでにわれわれが確立した,細胞診検体を対象にした染色法を取り上げ,次に実際の検出の可能な抗原,およびその診断面への応用を述べてみたい.
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