特集 アレルギーと自己免疫
カラー図譜
免疫組織と免疫細胞
島村 和男
1
,
玉置 憲一
1
Kazuo SHIMAMURA
1
,
Norikazu TAMAOKI
1
1東海大学医学部病理学教室
pp.7-13
発行日 1991年11月30日
Published Date 1991/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900786
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自己免疫疾患,アレルギー性疾患を含めた免疫病を理解するうえで,免疫組織と免疫担当細胞を理解することはたいせっであると考え,筆者らの研究室で行っている接着因子に対する最近の知見を加え,免疫組織と免疫担当細胞を形態学的に観察してみた.
T細胞分化において必須の器官である胸腺は,リンパ球が多い皮質と,Hassall小体などの多い髄質に分けられる.皮質はリンパ球が増殖する場であり,胸腺に入ったいわゆるCD4/CD8 double negativeのプレT細胞は,胸腺上皮細胞から分泌されるIL-7などのサイトカインの影響と,マクロファージから分泌されるIL-1に刺激されたヘルパー/インデューサーのマーカーをもつT細胞がIL-2を分泌しリンパ球増殖を促すと考えられる.皮質に多く存在するT細胞はCD4/CD8 double positiveであり,またCD1陽性であり,髄質に存在するT細胞はCD4あるいはCD8どちらかのsingle positiveであり,またCD3陽性である.胸腺にはいわゆる胸腺上皮細胞,マクロファージとその亜群である樹状細胞(dendritic cell)のほか,筋様細胞や粘液分泌細胞も認められる.胸腺T細胞はこれらに発現されている自己の組織適合性抗原複合体(MHC)を認識することにより,MHC拘束性と自己の細胞に対するトレランスを獲得すると考えられるが,胸腺T細胞がいわゆるdouble negativeからsinglepositiveT細胞にいかにして分化し,MHC拘束性と自己の細胞に対するトレランスを獲得するかの詳細はわかっていない.
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