今月の主題 輸血;新しい技術
技術解説
HLA抗原の検査法と解析法
赤座 達也
1
Tatsuya AKAZA
1
1名古屋第二赤十字病院検査部第三課
pp.487-494
発行日 1987年5月15日
Published Date 1987/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913315
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
HLA抗原の検査は血小板輸血や,臓器移植における患者と提供者との適合性の決定,親子鑑定,いくつかの疾患の診断および習慣性流産夫婦間の適合度の検定などで行われる.クラスI抗原(HLA-A,B,C)を検査するためには,比重の差を利用して血液よりリンパ球を分離する.さらにクラスII抗原(HLA-DR,DQ)を検査するには,ナイロンウールを使ってBリンパ球に分離して用いる.HLA抗原の検査(HLAタイピング)は,NIH法として国際的に標準化されている細胞傷害試験で行う.HLAタイピングにとっていちばんたいせつなのは抗血清である.抗血清の特徴(HLAの特異性)を表すには,Mickeyにより提案された,多特異性を解析するのに優れたQスコア(quality score)が適している.HLAの判定は慣れた人でも難しいが,使用した血清のQスコアをパーソナルコンピュータを使って計算することにより,HLAの判定を機械的に行わせることを試みた.以上のHLA抗原の検査と解析法とについて述べたい.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.