特集 先端技術と臨床検査
Ⅰ画像診断
6電磁図—3肺磁図
山谷 睦雄
1
,
佐々木 英忠
1
,
滝島 任
1
Mutsuo YAMAYA
1
,
Hidetada SASAKI
1
,
Tamotsu TAKISHIMA
1
1東北大学医学部第一内科
pp.1219-1224
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913124
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●はじめに
肺磁図とは,肺内に沈着した磁性体に体外から直流磁界を加えて磁化し,そこから発生する微小な残留磁気を胸郭の外から計測する方法である.フラックスゲート磁束計,およびJosephson効果を応用したSQUID磁束計が登場して,微小な磁界が測定可能になって以来,呼吸器病学の分野にも応用がなされ,実用化も一部なされてきている.
最初に肺磁図を手がけたのはマサチューセッツ工科大学のD.Cohen教授で,1970年代初めに肺磁界値の強さから肺内粉塵量と分布を測定し,また喫煙者において吸入粉塵の排泄遅延がみられることを報告している1,4,8).日本では小谷,千代谷らが珪肺症の剖検肺および鉄鋼所のじん肺患者で異常肺磁界値を測定したのが最初である21).このように,肺磁図測定(肺磁界測定とも呼ぶ)の歴史は浅く,研究も緒についたばかりであるが,本稿ではこの肺磁図の原理的・技術的観点について紹介するとともに,基礎的研究から臨床応用まで,肺磁図研究の現状について解説を加えてみたい.
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