特集 先端技術と臨床検査
Ⅰ画像診断
6電磁図—2心磁図
内川 義則
1
,
小谷 誠
2
Yoshinori UCHIKAWA
1
,
Makoto KOTANI
2
1東京電機大学理工学部応用電工学科
2東京電機大学工学部電子工学科
pp.1213-1218
発行日 1986年11月1日
Published Date 1986/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542913123
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●はじめに
心臓内に存在する心起電力源により,体表面および内部には電位・電流分布が形成される.これを体表面の2点間の電位差として測定したものが,心電図(ECG)である.一方,この電流によって体外に生じる磁界を測定したものが,心磁図(magnetocardiogram;MCG)である.MCG磁界の大きさは非常に小さく10−10T(テスラ)以下であり,後述するようにSQUID磁束計によって測定される.
心臓から発生する磁界,すなわち心磁図の測定は,1963年,BauleとMacfeeが数百万回も巻いたコイルを用いて行ったのが世界で最初である1).その後,1970年に米国マサチューセッツ工科大学のD. Cohenが磁気シールドルーム内で,J. Zimmermanらにより開発された点接触型SQUID磁束計を用いて安定した精緻なMCGの測定が行われ2),今日のMCG研究の基礎が得られたのである.SQUID磁束計の開発は,心臓磁界,筋磁界,脳磁界などの磁界計測情報を基礎に生体電気現象を解析する生物磁気学へ多大な貢献をしつつあり,さらに,医用工学の分野に対しても,SQUID磁束計および周辺処理装置を含む,より高度な生体磁気計測システムの開発の必要性を生じさせる結果となった.こうした状況の中で,MCGの理論的3),実験的4)検討が行われ,臨床の立場からは,粟野5)や森6)らによって検討されてきた.
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