今月の主題 不整脈検査
話題
心磁図
中居 賢司
1
Kenji NAKAI
1
1岩手医科大学臨床検査医学講座
キーワード:
心磁図
,
電流密度三次元表示
,
高周波微小電位肺静脈隔離術
,
胎児心磁図
Keyword:
心磁図
,
電流密度三次元表示
,
高周波微小電位肺静脈隔離術
,
胎児心磁図
pp.769-773
発行日 2007年7月15日
Published Date 2007/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101252
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1.はじめに
1903年,Einthovenは絃検流計を開発して,はじめてヒトのElektrokardiogrammを記録した1).Einthovenが絃検流計を開発して100余年が経過し,多くの臨床データに裏付けされた心電図法は心電現象の解析法として揺るぎない地位を確立した.しかし,体表より導出された心電図信号は,原理的に二次元表示にとどまる.
一方,磁界は生体内部臓器の透磁率が一定である.超伝導量子干渉素子(super quantum conduction device;SQUID)を用いて導出する心磁図は,心臓の電気的興奮に伴い発生する磁界を三次元的に解析できることを特徴とする.1963年,BauleとMcFeeは,200万回巻いた誘導コイルを利用して成人の心臓の磁界(心磁図)をはじめて検出した2).1970年,Cohenは磁気シールドルーム内でSQUID磁束計を用いて冠動脈結紮時の心磁図STセグメント(DC成分)の低下を示した3).日本国内では,森,中屋らが精力的に研究して臨床例での心磁図の有用性の礎を築いた4).
われわれは心臓磁界分布より電流密度分布を求める空間フィルター法を開発し,心臓の電気的興奮伝播あるいは電気的事象の三次元解析を可能とした5,6).本稿では,電流密度分布より求めた心臓外郭と各種不整脈での信号源解析や心室高周波成分(遅延電位)の立体的表示,胎児不整脈など心磁図の臨床での意義について概説する.
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