シリーズ・先天性遺伝性疾患の診断に役だつ検査・1【新連載】
新生児スクリーニング
鈴木 恵美子
1
,
成瀬 浩
1
Emiko SUZUKI
1
,
Hiroshi NARUSE
1
1国立武蔵療養所神経センター診断研究部
pp.55-61
発行日 1985年1月15日
Published Date 1985/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912470
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はじめに
心身障害を伴う先天代謝異常症の一部は,早期に治療を開始することにより有害な症状の発現を防ぐことが可能である.新生児スクリーニングとは,このような治療可能な先天性代謝異常の早期発見の方法であり,フェニルケトン尿症(以下PKU)の早期発見・早期治療のための手段として発達してきた.初めに尿による検査が行われたが,アメリカのR.Guthrieにより血液を濾紙に採取する方法が確立され,血液濾紙を用いてのマス・スクリーニングへと移行した.その後,引き続き血液濾紙を用いて,PKU以外のアミノ酸代謝異常症,ガラクトース血症,先天性甲状腺機能低下症などのスクリーニング法も発表された.こうして,PKUのみのスクリーニングから,何種類もの疾患の発見を目的としたマルチプル・スクリーニングへと発展していった.
現在,わが国では全国的に,先天代謝異常五疾患と先天性甲状腺機能低下症のマルチプル・スクリーニングが実施されている(表1).今回は,そのスクリーニング方法についての実際的な操作法や注意点について説明したいと思う.
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