特集 心身障害児
心身障害児の早期発見・早期治療—新生児期スクリーニングについて
鴇田 恵美子
1
,
成瀬 浩
1
1国立神経センター診断研究部
pp.688-692
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205940
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■はじめに
編集室から,「心身障害の予防と発見」という課題が与えられたが,現在,この問題は,医学的において一つの重要な分野になりつつある.この課題に忠実に従えば,出生前診断および遺伝相談の問題が重要な部分となるであろう.なぜならば,心身に障害のある児をもつ親が次の子を妊娠した時には,遺伝相談を受けて,羊水診断を希望する例が急激に増えているためである.この場合,羊水診断によって染色体異常や治療不可能な代謝異常が発見されれば,親の希望いかんによっては,妊娠中絶という手段が採用される.この事柄は,倫理的見地からの批判にもかかわらず,多くの国国でなされている.
さらに最近,遺伝相談としてではなく,一般の妊婦について,ある種の出生前診断が行なわれるようになってきた.それは,妊婦の血液中のα-Fetoproteinを測定し,Neural tube defectsを早期発見する試みで,一部の地域で現実化されてきた.また,同じく妊婦の血液を用い,トキソプラズマ抗体を測定し,妊娠中のトキソプラズマ感染の対応策を考えることも,一部の地域で行なわれつつある.
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