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はじめに
うつ病においては,体液中の各種物質の変化が知られているが,全く特異的な代謝産物は見出されておらず,物質の変化の程度も,あまり顕著ではない。一般的に,代謝経路の中間で,完全に近い障害があれば,特定の物質が極端に増加する。しかし,そうでない場合には,物質の濃度はあまり極端に変わらないことが多い。中等度の代謝経路の変化を知るためには,物質の代謝回転の程度を知ることの方が,物質濃度を測定するよりも,はるかに敏感に変化を認識しうる。川幅が増減するよりもはるか以前に水流が変化する。代謝回転を測定することは,この水流測定にたとえられる。これに反し,物の量を測定するのは,川幅の測定に近いのでなかろうか。
この代謝回転の正確な測定には,トレーサー実験が必要である。その他の方法で代謝回転を測定するのは,種種の誤った情報が入り,不正確になる。動物実験では,ラジオアイソトープ(RI)がトレーサーとして使用されたが,ヒトにRIを使用することは倫理的に問題である。このため,安定同位体(SI)をトレーサーとして使用することが必要である。しかしSIを用いた研究は,分析法が必ずしも容易でないため,まだあまり一般化してはいない。SIの臨床医学への応用は,Curtius, C-H(スイス)らにより試みられたが1),方法の困難さのためフェニールケトン尿症の近縁疾患に用いて成功しただけで,他の疾患の研究は不成功であった。
Many reports have described some mild changes of amino acids, amine and related compounds in body fluids in depression. However, no definite finding was confirmed concerning changes of these compounds. For the purpose of investigatingchanges of in vivo metabolism of these compounds in depression, measurement of pool size of these compounds might not be a sensitive way to know the dynamic situation. It will be necessary to determine the turn over rate of intermediates of related pathways.
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