今月の主題 アルコール
技術解説
薄層ポリアクリルアミド等電点電気泳動による異常α1-アンチトリプシンの検出—特にアルコール依存症にみられる異常アンチトリプシンについて
三宅 和彦
1
,
伊藤 善志通
1
,
鳥居 正男
1
Kazuhiko MIYAKE
1
,
Yoshimichi ITOH
1
,
Masao TORII
1
1帝京大学医学部第1内科
pp.27-32
発行日 1985年1月15日
Published Date 1985/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912465
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薄層ポリアクリルアミド等電点電気泳動は再現性,分離能において優れ,多数の検体を同じ条件下で比較検討することが可能であり,臨床検査に適している,血清蛋白質分離後,特異抗血清を使用することにより,免疫固定プリント法によって容易に目的蛋白質の同定ができる.
飲酒に伴い,血清糖蛋白質の一つであるα1-アンチトリプシンに質的変化――native α1-アンチトリプシンより等電点が高く,分子量が数千小さい――が惹起される.これは一過性変化であり,断酒により2〜3週間で消失する.異常α1-アンチトリプシンはアルコール依存症者で35%に検出され,対照の非アルコール性疾患では1例も認められなかった.異常α1-アンチトリプシンの生成は,アンチトリプシンの糖部分にシアル酸の不完全な付加が生じたためと推定され,過剰アルコール摂取に特異的変化であり,飲酒の程度を示す良い生化学的指標になるうるものと考えられる.
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