講座・リンパ球の検査・4
感作担体による細胞表面免疫グロブリンの検査法
榎本 博光
1
,
河合 忠
1
Hiromitsu ENOMOTO
1
,
Tadashi KAWAI
1
1自治医科大学臨床病理学教室
pp.430-436
発行日 1984年4月15日
Published Date 1984/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912169
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はじめに
ヒトB細胞はその表面に種々のマーカーすなわち免疫グロブリン,補体レセプターおよび免疫グロブリンのFc部分に対するレセプター(Fcレセプター)などを有する.このうち膜表面に存在する免疫グロブリン(SmIg)がもっとも信頼できるB細胞のマーカーであることから,SmIgの検出は特異性の優れたB細胞の検定法として従来より種々の方法が開発されてきた.FITC標識抗ヒト免疫グロブリン抗体(FITC—抗Ig)を用いてSmIgを検出する蛍光抗体法は比較的良質のFITC標識抗体も市販され一般的に広く用いられてきた方法である.しかしながら高価な蛍光顕微鏡を必要とし,それによる判定は客観性に欠けかなり熟練を要すること,非特異蛍光の問題など標準化が困難で日常検査としては問題となるところである.
1970年,Coombs1)らにより感作ヒツジ赤血球を用いてウサギのSmIgをロゼット法により検出しうることが報告されて以来,感作担体によるSmIgの検出法が数多く開発されてきた.これらの方法はいずれも操作と判定が容易で特異性に優れて,蛍光抗体法で問題となる抗体のFc部分による非特異反応もほとんど関与せず判定もより客観的である.さらに検出法としてのみならずB細胞の分離・精製法としても応用することが可能である.
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