今月の主題 画像診断
総説
画像診断技術の進歩
赤塚 孝雄
1
,
渡辺 富夫
1
,
武田 徹
2
Takao AKATSUKA
1
,
Tomio WATANABE
1
,
Tohoru TAKEDA
2
1山形大学工学部情報工学科
2筑波大学医学研究科
pp.244-254
発行日 1984年3月15日
Published Date 1984/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912136
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はじめに
最近,ディジタルラジオグラフィーや核磁気共鳴を用いた画像化など,臨床診断に用いている画像の新しい処理による診断情報の抽出や,これまでは見えていなかった情報を画像として提供してくれる新しい画像化技術の開発が,目覚ましい速さで進んでいるのがみられる.これに伴って,この情報を十分に活用する医学的な知識と,これに基づいた操作とか画像の活用などが要請されている.
このような画像診断技術の展開を,ディジタル画像処理技術を中心にながめてみようというのがこの小論の主旨である.視覚的な情報を認識し識別する能力で,人間に優る機械はなかなか実現できそうにはない.しかし,新しいセンサー技術,電子回路技術,情報処理技術を駆使することで,不可視情報が可視化され,見えなかったものが見えてくるだけでなく,本来,画像とは言い難い情報の二次元的な広がりを画像として表現し,診断に必要な情報が取り出されるようになってきた.その読影にしても,画像を見やすく変換し,定量的に計測評価し,それらの情報を大量に蓄積して迅速に引き出すとか,ひずみ無く遠方に高速で送るといったことが,比較的容易に実現できるようになってきている.種々雑多な画像情報を整理し診断に生かしてゆくのも,これからの課題と言えよう.
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