今月の主題 血液凝固検査と合成基質
技術解説
XⅢ因子の測定
浦山 功
1
Tsutomu URAYAMA
1
1東邦大学医学部生化学教室
pp.848-853
発行日 1983年8月15日
Published Date 1983/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911934
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XⅢ因子はトランスグルタミナーゼの一種であり,生体内ではフィブリン分子間あるいはフィブリンと他の蛋白との間に架橋形成を起こさせ,線溶抵抗性の獲得と線維芽細胞の接着増殖担体形成を促進させる役割を担っている.反応はアミドボンドの形成であるから,カルボニルとアミンの二つの基質が必要である.フィブリンを基質とする場合は同一蛋白内に両者を含み,固層蛋白間のクロスリンク反応となるが,カゼインを用いることによりアミン基質側に種々の合成基質が使用可能となる.さらには,カルボニル側も合成基質が開発されつつあり,完全合成基質系も可能である.ただし現状ではそれぞれ一長一短があり,いまだ発展の余地が残されているのでカゼイン法と合成カルボニル法を併記することとし,測定法に関する今後の展望を試みた.また臨床的意義についても未確定の部分が多いと思うが,知るところを概説した.
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