材料別細菌検査の進め方・11
真菌の検査法
増谷 喬之
1
,
播金 収
1
,
鷲津 良道
2
,
山中 喜代治
3
,
小栗 豊子
4
,
佐久 一枝
5
,
三輪谷 俊夫
6
Takayuki MASUTANI
1
,
Osamu HARIKANE
1
,
Yoshimichi WASHIZU
2
,
Kiyoharu YAMANAKA
3
,
Toyoko OGURI
4
,
Kazue SAKU
5
,
Toshio MIWATANI
6
1奈良県立医科大学附属病院中央臨床検査部細菌検査室
2京都府立医科大学附属病院臨床検査部細菌検査室
3大手前病院中央検査科細菌検査室
4順天堂大学医学部附属順天堂医院中央検査室細菌検査
5東京都立駒込病院臨床検査科細菌検査室
6大阪大学微生物病研究所細菌血清学部門
pp.1498-1506
発行日 1982年11月15日
Published Date 1982/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911721
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はじめに
真菌症は,皮膚科領域をはじめ,内科,耳鼻科,産婦人科などの臨床領域に広くみられるもので,その原因菌種の分離・同定が真菌症の診断,治療に重要な役割を演じている.しかし,一般細菌検査技術の向上に比べ,医真菌検査は,まだ十分に行われていないのが現状である.ここでは臨床各科から提出される材料よりの真菌の分離・同定までの手順をわかりやすく解説し,その実際面について記述する.
真菌症は,その感染部位によって毛髪,皮膚,爪,粘膜に病変部がとどまる表在性真菌症(superficialmycosis)と皮膚の深部層からさらに進んでリンパ腺や骨,内臓に及ぶ深在性真菌症(deep-seatedmycosis)とがある.前者のほとんどは皮膚科領域でMicrosporum属,Sporothrix属およびTrichophy-ton属などがよく分離され,後者では内科,産婦人科領域でAspergillus属,Candida属が分離されることが多い.また,角膜の外傷に続発して起こる真菌症を角膜真菌症(keratomycosis),外耳道を主な病変部とする真菌症を耳真菌症(otomy-cosis)と呼んでいる.
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