今月の主題 ショック
検査と疾患—その動きと考え方・66
エンドトキシンショック—検査値の動きと考えかた
戸塚 守夫
1
,
伝野 隆一
1
Morio TOTSUKA
1
,
Ryüichi TSUTANO
1
1札幌医科大学第一外科
pp.675-682
発行日 1982年6月15日
Published Date 1982/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911569
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はじめに
近年,抗生物質の発展により感染症は大きく変貌を遂げ,重篤なGram陽性菌感染は姿を消して,1960年代からはGram陰性菌感染症が主流を占め,菌の交代現象,耐性菌の出現がみられるようになった.一方,宿主側の条件も著しく変化し,患者の老齢化,拡大された検査法や郭清手術,免疫抑制剤,制癌剤,副腎皮質ホルモン剤などの使用により宿主の感染防御能は著しく低下し,いわゆる日和見感染が惹起され,ついには致命的になる症例もみられるようになった.
重症感染症や悪性腫瘍末期患者などが重篤なショックに陥ることが古くから知られており,Waisbren1)(1951)がGram陰性菌敗血症に特異的なショックが発生しやすく,予後も悪いことを発表して以来,多数の研究者によりGram陰性菌を中心とした細菌性ショックの概念が確立されてきた.致死的な細菌性ショックのうち,最近は,臨床的に感染巣や血中から検出される菌はほとんどGram陰性菌であり,大腸菌,肺炎桿菌,緑膿菌,変形菌,Bacteroides, Serratiaなどが高率に証明されている.
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