今月の主題 風変わりな感染経路の感染症
技術解説
韓国型出血熱の検査—患者と野鼠
田村 俊秀
1
,
山西 弘一
2
,
高橋 理明
2
Toshihide TAMURA
1
,
Koichi YAMANISHI
2
,
Michiaki TAKAHASHI
2
1兵庫医科大学細菌学教室
2大阪大学微生物病研究所麻疹研究部
pp.265-270
発行日 1982年3月15日
Published Date 1982/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911497
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数年来主として大学で実験動物を扱っている研究者の問で高熱,蛋白尿,出血傾向を主徴とする疾患が報告され問題となってきた.1938年に中国東北部に進駐した日本軍の間で同様の症状の病気が流行したことが報告され,「流行性出血熱」と命名された1,4).その後ソ連邦5)やスカンジナビア地方にも,同様の疾患が見いだされている.1951年6)には朝鮮動乱により"韓国型出血熱(KHF)"として知られるに至った.近年では中国大陸での流行が注目されている7).
わが国においては1960年に大阪北区の住民の間で熱性疾患が流行し,田村雅太博士により詳しく報告さね,これが大陸の流行性出血熱と同疾患であることが臨床症状および病理所見より判明した8,9).1975年10)以降は東北大学医学部に続いて各地の大学,研究施設での発生が報告されるに至っている.
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