今月の主題 風変わりな感染経路の感染症
技術解説
魚類,特に輸入生鮮魚類の寄生虫検査—Anisakis,顎口虫ならびに吸虫類を中心に
西村 猛
1
Takeshi NISHIMURA
1
1兵庫医科大学医動物学講座
pp.258-264
発行日 1982年3月15日
Published Date 1982/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911496
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魚類の生食に基因する寄生虫感染症は,今さらこと新しく述べるまでごもなく,代表的なものを挙げてもアユからの横川吸虫,モロコ,フナ,コイなどからの肝吸虫の感染などが古くからよく知られているところであって,一般の糞便検査においても,これらの種の虫卵に遭遇する機会は決して少なくない.
しかしながら一方,戦後における一時期には雷魚(タイワンドジョウ)の生食に基づく有棘顎口虫症の大流行があり,その感染経路となる魚類の検索についても数多くの知見が得られたものであった.また,この顎口虫症(Gnathostomiasis)の流行がほぼ終息した時期に,海産魚類の生食によって感染するアニサキス症(Anisakiasis)の存在が明らかにされるなと,寄生虫の感染経路としての魚類の問題はより大きな比重を持つようになった.
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