今月の主題 筋疾患
総説
筋収縮のメカニズム
渡部 士郎
1
1杏林大学生理学
pp.281-290
発行日 1981年3月15日
Published Date 1981/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911179
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筋細胞の系統的発達
英語のanimalを語原辞典でみるとa livingbeingとかabreathing beingの意であるという.後者は,正に日本語の呼吸(いぎ)ものとなり東西の不思議な一致がある.呼吸しているものは,とりもなおさず生きているものであり,特に顕微鏡の発明以来,我々人類は常に"動くもの"に対しての観察を進めてきた.細胞の発見に次いで,細胞内での"動く現象",すなわち原形質流動(cyclo-sis)がまず調べられ,それらは周回運動(rota-tion),循環運動(circulation),湧出運動(foun-tain streaming)などに分類された.
細胞そのものの運動は主として動物界にみられ,代表的な現象を列挙すれば,アメーバ運動(amoeboid movement),②繊毛運動(ciliarym.),鞭毛運動(flagellan m.)及び今回の主題である③筋運動(muscular m.)または筋収縮(muscular contraction)などに分類されている.前段の原形質流動も含めて,これらの運動現象は,すべてアクチンとミオシンによって代表される収縮性蛋白(contractile protein)が関与していることが,近年急速に発展した研究によって明らかにされている.
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