技術講座 生化学
AlP,LAPアイソエンザイム
竹下 栄子
1
1慶応病院中検
pp.589-593
発行日 1977年8月1日
Published Date 1977/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543201424
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AlP
血清AlPの測定は骨疾患,肝胆道系疾患,特に閉塞性黄疸の鑑別診断,病態の経過観察など主に日常スクリーニング検査に用いられ,臨床に応用されている.AlPはアルカリ側でホスホモノエステルを加水分解する酵素で,そのタンパク質的及び酵素的性状がしだいに明らかにされている.活性中心にセリンを持つ2個のサブユニットから成る糖タンパク質であり,亜鉛を含む金属酵素でMg2+により賦活される1,2).この酵素の生理的意義及び生体内での真の基質については不明であるが,腎の近位尿細管,小腸,骨芽細胞,胎盤,肝の毛細胆管,哺乳期の乳腺に存在し,その局在が細胞膜であることから,膜を通じての能動輸送に関与していることが推定されている.血清中に存在するAlPは代謝的に不活性である.
ヒトのAlPは骨,肝,小腸,胎盤由来が明らかにされている.分子量は12〜15万である.これら由来臓器の異なるAlPの一次構造は分かっていないが,酵素化学的性状やタンパク質化学的性状が異なり,アイソエンザイムとして取り扱われている.その他に閉塞性黄疸の血清中に認められる高分子AlPとか,腫瘍細胞由来AlPも血清中に確認されている3,4).
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