負荷機能検査・13
アレルゲンとスパイロメトリー
谷本 普一
1
,
石丸 志保
2
1虎の門病院呼吸器科
2虎の門病院臨床生理検査室
pp.65-70
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542911131
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気管支喘息におけるアレルギーの意義と吸入誘発試験の歴史
気管支喘息の発症におけるアレルギーの役割は極めて重要であり,喘息患者の約2/3はアレルギーによって発症する.そのアレルギーの機序はまだ十分に解明し尽くされたとは言えないが,気管支喘息のアレルギーばI型アレルギー反応が主であり,それにIII型,まれにIV型反応が加わったものと考えられる.
喘息患者では,アレルゲンが吸入されると流血中にIgEに属するレアギン抗体が産生され,それが気管支粘膜に存在するマスト細胞(肥満細胞)に固着する.抗体が出来上がったところへ再びアレルゲンが吸入されると,アレルゲンはマスト細胞に固着しているレアギンと結合する.これが抗原抗体反応であり,抗原抗体結合の結果マスト細胞で脱顆粒現象が起こり,ヒスタミン,SRS-Aなどの化学伝達物質(chemical mediator)が遊離する.これらの物質は直接気管支組織に働き,平滑筋収縮,血管透過性亢進,気管支腺刺激による分泌亢進を起こし,閉塞性換気障害を生じついには喘鳴を伴う呼吸困難が発現する(図1).
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