カラーグラフ
圧挫標本による神経系組織の細胞診
高橋 正宜
1,2
1中央鉄道病院・中検
2杏林大・病院病理部
pp.468-469
発行日 1976年5月15日
Published Date 1976/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542909360
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脳腫瘍の臨床診断に果たす細胞診の試料として通常髄液が用いられるが,膜炉過法による集細胞法を採用しても原発性神経膠腫に対する診断率は高くない.手術中の迅速診断は脳外科手術の進歩とともに頻度が高くなりつつあるが,凍結標本の作製は試料が小さいことと,腫瘍では組織が脆く壊れやすいことのために標本の作製が困難である.
圧挫法(squash method)は凍結標本に代えて行う有用な方法として筆者が採用してきた方法である.米粒大の新鮮な組織を2枚のスライドの間に鋏んで指圧を加えて圧挫し,2方向に引き延ばすという簡便な方法である。本法の利点は,①標本作製が速やかで容易なこと,②神経細胞や星膠細胞の同定が容易なこと,③毛細血管の構造,特に壁の肥厚や内皮細胞の増生などを観察できることである.膠原線維成分の多い転移癌では圧挫のしにくい場合があるが,それも判定の参考となる.なお,表示する図はパパニコロウ法であるが,クリューバ・バレラ,ニッスル染色,その他の特殊染色にも都合がよい.
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