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腸チフスの治療
村山 達三
pp.6-9
発行日 1950年9月15日
Published Date 1950/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906698
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1)腸チフス症状經過一般
本病治療について先ず第1に症状經過の大要,第2に治療の要點,第3に看護療法,第4に本病看護上の心構えと云つた樣な事を申述べます。
腸チフス(パラチフスをも含む)は熱性急性傅染病の一つで又消化器系のそれに屬します。病原は腸チフス菌で,腸チフス患者又は保菌者の兩便から排出されたものが,飮食物と共に人體に入り込み,一定の潜伏期を經て發病します。熱は多くは惡寒を伴い階段状に次第に約1週間で最高(40°5位)に達するか,又比較的急に即ち2,3日の中に最高に達するものがあり,全經過で約4週-6週位續きます。朝夕の差は1°以内で續き,それを稽留熱(期)と稱える。其期は約1週間から10日位(病の輕重によつて異るが)續き,次で弛張期(約1週間)に進みます。それは朝は37°に追々下り夕刻は40°近くなります。次に漁散期,これも1週間位つゞきますが,階段状にさがり,かくて平熱に復歸するのです。熱の全經過は重いのは稽留期だけで2週間以上に及ぶものもあり,又弛張期も同樣です。かくして回復期に入り治療をするのです。中には再發するものもあり,それは熱が一旦さがつてから平均1週間後更に高くなり約1週間つゞき,そして普通は平温に復します。
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