日常検査の基礎技術
真菌菌株の保存法
横山 竜夫
1
1(財)発酵研究所
pp.311-318
発行日 1975年3月15日
Published Date 1975/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542908912
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菌株の保存は,少なくと4,微生物を取り扱う限りけ避けて通ることができないことでありながら,煩わしざが先に立ち,ややもするとなおざりになりがちのものである.
細菌,酵母と同様,真菌の培養も,その菌が最も良く発育し,形態的にも生理的にも望ましい限りの最良の性質を発現するための最適条件──培地,温度,光,通気など──を選び用いているが,こういう条件下では同時に自然突然変異率が最も高く,形質の変化が起こりやすい.また培地中に蓄積される物質によって菌自体の発育が阻害されたり,変異が誘発されたりする他,培地の枯渇や養分の消費,急激な温度変化,あるいは雑菌やダニの侵入による菌株の死滅や汚染という不都合が種々発生し,培養即保存とはなかなかうこたくいかない.
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