技術解説
パラフィンまたはセロイジン・パラフィン包埋薄切片の電顕試料の作り方
三友 善夫
1
,
宮本 博泰
2
1東京医歯大病理
2東京医歯大中央電子顕微鏡室
pp.9-18
発行日 1973年1月15日
Published Date 1973/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907942
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日常,病理組織検査においてルーチンの生検,手術摘出材料,剖検材料のほとんどは光顕の病理組織標本の作製によって処理され,その大部分はH・E染色ですまされている.H・E染色の標本による病理組織診断を確定するために,あるいは病変が複雑でH・E染色の標本では病理組織診断がつけられない場合には,ヴァン・ギーソン,アザン・マロリー,鍍銀法などの結合組織の染色,PAS,アルシアン青,ムチカルミン,トルイジン青,コロイド鉄などの粘液多糖類の染色,ズダンⅢ,オイル・レッドOなどの脂肪染色,鉄,Caなどの無機物質の染色,アメーバ,細菌,真菌などの病原微生物の染色法,内分泌腺の分泌顆粒,神経組織の染色などの特殊な染色法を行なっている.
しかしながらこれらの特殊な染色法を用いてもなお病理組織診断を確定できない例があり,酵素組織化学的検索や電顕的観察を用いることがある.電顕的方法は特異で,試料の作製に限界があり,すべての材料に,いつでも適用されるとはかぎらない.そこで前にも述べたように1-3),特異な電顕試料の作製を何とかすべての病理組織検査の材料に応用したいとくふうがこらされてきた.
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