研究
色素結合基質(DyAmyl)による血清アミラーゼ活性値測定法
片平 宏
1
,
天野 訓子
2
,
松平 道子
3
,
斎藤 レイ子
1
,
吉野 二男
2
1神奈川県立成人病センター検査科
2神奈川県立衛生短期大学
3富士電機病院検査科
pp.191-195
発行日 1972年2月15日
Published Date 1972/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907525
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はじめに
現在,広く用いられているアミラーゼ活性値の測定法は,大きくわけてアミラーゼの作用後に残存する基質のデンプン量をヨード・デンプン反応を利用して測定するAmyloclastic法と,生成された還元糖量を測定するSaccharogenic法の2者に分類できると思う1).前者に代表される測定法にはわが国で最も多く,また長く採用されてきたWohlgemuth法があるが,現今ではその定量性と表現単位の不合理性から,Caraway2)とその変法3)などに移行しつつある.しかしながらこのヨード・デンプン反応は共存タンパクとデンプン分子との間の競合により発色がある程度阻害されるといわれ,日差変動などの点その他にもいろいろと問題点は多い4).
一方,後者に代表される測定法にはSomogyi法があるが,わが国においてはその手技の繁雑さからあまり採用されておらず,むしろ近年各種測定法の微量化と関連してそのすぐれた再現性のために,3,5—dinitrosalicylicacidを使用した微量法5-7)が各所で採用されている.しかし測定操作は前者に比較すると繁雑さはまぬがれず,加えて高血糖時の高ブランク値はいろいろと問題を含み,高単位活性の場合の検量線における直線性等もよくない.さらに根本的に重要なことは,その両者とも基質そのものの不均一性に最大の悩みがあった.したがって基質に関しては,精製アミロースを使用するなど多角的な検討がなされている8).
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