技術解説
血液凝固検査の標準化
梅垣 健三
1
1奈良医大・病態検査学
pp.1086-1091
発行日 1971年11月15日
Published Date 1971/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907361
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はじめに
1963年よりはじめられた‘本邦人の血友病並びに類縁疾患に関する研究’班の血友病診断に用いる凝血学的検査術式の標準化の試みがきっかけとなり,第12回日本臨床病理学会総会で‘血液凝固検査の標準化’がシンポジウムとして取り上げられ1-5),血液凝固の認識がしだいに深まってきたのと相まって,標準化された検査法の検査室への導入が年々増加してきた.また出血に関する検査はふるい分けとしてどの範囲に行なうのがよいかについても,正常止血機序より考えて血管系,血小板系および凝固系について少なくとも6項目を行なう必要があるとの考え方が理解され,浸透し,今日ではほぼ実施されていると思われる.
これまで先天性凝固障害症は,凝血学的に凝固因子活性がないことで診断されてきたのであるが,血漿タンパクの分析の研究が進むに従って,分子生物学的観点よりながめられ,異常血色素症と同じように,分子構造上の異常によって発症することが報告されるようになってきた.すなわちDysfibrinogenemia,Dysprothrombinemiaであり,また血友病および類縁疾患についても凝固タンパクの構造異常によると思われる症例が凝固免疫学的に検討され,報告されている.
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