特集 日常検査法—基礎と要点
部門別の基礎技術
Ⅵ.病理学
細胞診
丸山 雄造
1
1信州大・中検
pp.1315-1319
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907007
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はじめに
癌を細胞単位で診断しようとする試みはかなり古くから行なわれてきたが,1943年パパニコロウは性周期の解析のためにくふうされた染色法を応用して腟内細胞から癌細胞を見いだし,また癌細胞のもつ形態的特徴を整理して今日の細胞診の基礎を作って以来,急速な進歩と普及をみるに至った.初めはその著書の題名にも取り上げられているように剥離細胞学であって,剥離脱落してきた細胞をとらえて検体とすることが多かったが,細胞診の臨床的評価が高まるにつれて,検索の対照もひろがり,積極的に細胞を採取して検索する機会も多くなった.
一方染色手技もパパニコロウ染色のみでなく,検体の種類に応じてギムザ染色やPAS染色その他多くの手技が利用されるようになり,そのため判定に際しては検体の多様性,採取手技による細胞の条件,染色法などを考慮して細胞を観察しなければならないことがたいせつになってきた.
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