技術解説
白血球の遊走能検査法
千田 信行
1
,
田村 宏
1
SENDA NOBUYUKI
1
,
TAMURA HIROSHI
1
1大阪府立成人病センター
pp.889-895
発行日 1963年12月15日
Published Date 1963/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542906188
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はじめに
白血球の運動能は,貪食能と並んで白血球の大きな機能の一つであり,白血球の生理学的・病理学的研究にきわめて重要で,臨床的にも大きな意義をもっている。この白血球の運動能をしらべるには,単に白血球の遊走能だけでなく,走性(走化性,走電性)1)とか,あるいは運動型1)2)など各種の検査を行なうことが必要である。しかし,ここではそのうち最も基本的な白血球の遊走能の検査法について述べる。遊走能というのは白血球が自由運動を営んでいるときの運動能力で,単位時間における運動速度(μ/m)で表わされる。この検査法の概略を述べると,まず血液その他白血球浮遊液などの検査材料を用いて,おおい-載せガラス標本をつくり,次いでこれを37℃の保温下で鏡検し,白血球の運動を描画器を通じて追跡するかあるいは映画撮影などによって記録し,その軌跡の距離をミクロメーターによって測定して1分間の平均速度(μ/m)を求めるものである。一般には描画器による方法が多く用いられ,わが国でも杉山3)以来この方法が広く普及している。そこで,この描画器を用いる方法を主として,われわれの経験を加味し,これから検査を始めようとする初心者をも考慮に入れて解説したいと思う。以下,順を追って,実施上必要な器具および注意しなければならない手技の要点などについて述べる。
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