技術解説
現像の知識(1)
宮本 五郎
1,2
1東京写真短期大学
2日本写真学会
pp.701-706
発行日 1961年11月15日
Published Date 1961/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905900
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1.現像の意義
写真感光材料に普通の写真撮影に必要な程度の露光を与えた場合は,肉眼で見てはもちろん顕微鏡で見てもなんの変化も認められない。しかし適当な露光を受けて光化学変化を起こした個々のハロゲン化銀結晶は,そのままでは肉眼では見えない潜像を形成しているのである。この潜像を現像液といわれる適当な還元剤の溶液で発展させて,肉眼に見える画像にする過程が現像である。
ハロゲン化銀に充分多量の光を与えると,現像処理を行なわないでも光分解による多量の中性銀の析出で潜像の領域を脱して,ついに変色して肉眼に見えるようになるが,あまりにも時間がいりすぎて今日の一般写真撮影には問題にならない。
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