技術解説
ジデロブラスト(鉄可染性赤芽球)の染色法とその診断的意義
勝沼 英宇
1
,
高崎 優
1
,
渡辺 佳俊
1
,
佐藤 淳
1
1東京医大内科
pp.1111-1115
発行日 1966年11月15日
Published Date 1966/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542916013
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緒言
赤血球内の鉄顆粒の存在を始めて指摘したのはGruneberg (1941)であるが,この現象が摘脾後に特に著明に現われ,臨床家の注目をひいたのはDoniach,Gruneberg,Pearson (1943)らの発表後である。その後溶血性貧血にも出現することが知られ,さらに最近Heilmeyerらの鉄代謝に関する広汎な研究により新たな鉄顆粒含有性赤芽球を主体とする疾患群が発表され,この疾患群が低色素性貧血を呈することから臨床血液学の鉄療法に新知見をもたらした。すなわち従来低色素性貧血といえばその大半が鉄反応性貧血であるが,低色素性貧血で鉄に反応しない一群がこれに該当することが判明されるにいたった。したがって低色素性貧血でも鉄が奏効するものと,奏効しないものとがあり,その鑑別にこの鉄顆粒染色が必要になってきた。この意味で鉄顆粒染色法は将来,貧血診断法のルーチン染色法の1つとして中央検査室に取上げられる可能性が十分であると考えられたので,私どもの経験を書き,大方の批判を抑ぎたい。
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