技術解説
脂肪染色—その実際と要領
影山 圭三
1
1慶応大学病理
pp.351-355
発行日 1961年6月15日
Published Date 1961/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905840
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はじめに
脂肪或は脂質の中には,中性脂肪,胆固素脂肪,類脂質,脂酸,など多くのものが含まれていて,脂肪染色としてもつとも広く用いられているSudanⅢによる染色法は,主として中性脂肪を染色する方法で,普通に脂肪染色という場合には,中性脂肪染色を意味することが多い。SudanⅢの他に,Oil red O,Sudan Black B,Scharlach rot,オスミウム酸等が同様に用いられているが,これらの染色では,各種の脂質の鑑別が困難で,そのためには,例えば胆固素脂肪(Cholesterin),燐脂質(Phosphatide),脂肪酸の証明法としては,それぞれSchulz法,Ciaccio法,Fischer法などがあり,また重屈折性の有無を利用して,各種の脂質を区別する方法も用いられている。
以下,代表的な数種の染色法の実際と要領について説明するが,これらは一つの規準となるもので,染色液の状態或は室温などにより,染色に要する時間など,多少の伸縮を要する事は云う迄もない。要は「染め上り」であり,この点は他のすべての染色に対すると同じ心構えが必要である。
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