Japanese
English
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新しいサルファ剤Sinomin(静注用)の血中濃度及び尿中排泄と泌尿器科領域における治療経験
THE EFFECT OF A NEW SULFA-DRUG "SINOMIN" ON THE URINARY INFECTION ; ITS BLOOD CONCENTRATION AND URINE EXCRETION.
百瀬 俊郎
1
,
王丸 鴻一
1
Syunro MOMOSE
1
,
Koiti ÔMARU
1
1九州大学医学部泌尿器科
1Department of Urology, Kyushu University
pp.45-50
発行日 1961年1月1日
Published Date 1961/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202973
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I.緒言
Domagkが1935年Prontosilを発見して以来,多くのサルファ剤が合成せられ,画期的な化学療法剤として非特異細菌による感染症に広くもちいられて来たが,戦後ペニシリンを初めとする各種抗生物質の出現に従来のサルファ剤は一時その第1線より後退した感があった。事実戦前のサルファ剤の中には,アセチル化率高く,尿中溶解性悪く,血球結合率高く,あるいは有効血中濃度持続時間短く,しばしば腎内で結晶を析出し無尿,乏尿,血尿を惹起したり,腎結石の誘因になったり,食欲不振,悪心嘔吐等の胃腸障害,溶血性貧血,顆粒細胞減少症の様な血液疾患,皮膚発疹,肝障害等の不快な副作用を示した。そのため尿中結晶形成を防ぐ意味で重曹を併用したり大量の水分摂取を行わしめたり,1日4〜5回の分割投与を行わしめたり,はなはだ煩雑であると共に大量,長期間投与と云う点に特に腎機能障害者や尿量の少ない患者に対しては多くの難点を持っていた。
スルファイソキサゾールの様に尿中溶解性の極めて高い毒性の少ないサルファ剤も合成せられ好んで尿路感染症に使用されていたが,抗生物質のめざましい発展と,その出現当初に於ける著るしい効果,副作用の皆無には抗すべくもなかった。
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