技術解説
Paul-Bunnell反応
副島 圭一
1
1東大臨床検査部血清検査室
pp.231-233
発行日 1958年4月15日
Published Date 1958/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542905456
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Paul & Bunnell1)は1932年,伝染性単核症の患者血清が羊赤血球に対して高い凝集素価をもつていて,又これは非常に特異的であることを発見した。もつともそれまでに血清病(当時は種々の細菌感染に対して治療血清が試みられていたので,その頻度も多かつた)の患者血清が羊血球に対する多量の凝集素を有することが分つていて,多くの人によつてそれがForssman抗体であるか否かを種々論じられていた。Paul & Bunnellは血清病に症状の似ている種々の疾患について羊血球凝集反応を試みて本反応を発見し,これはHeterophile Antibody(異好抗体)の存在によるものと発表した。
その後Bailey & Raffessl2)(1935),Davjdsohn3)(1937)等は伝染性単核症のこの抗体の性質を明らかにするため,種々の動物組織による吸収試験を行つた結果,この羊血球凝集素は,Forssman抗原のないと言われている牛血球によつて非常によく吸収され,代表的なForssman抗原であるモルモツト腎では吸収されないことを発見した。特にDavidsohnはこの吸収試験を詳しく研究し,血清病では上記の両抗原によつてともに吸収され,その他の疾患ではモルモツト腎でのみ吸収されることを明らかにし,これによつて鑑別診断が可能なことを発表した。我々の検査室ではこの吸収試験もあわせ行つて検査結果の判定の参考にしている。
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