特集 これだけは知っておきたい検査のポイント
VII.血清検査
ポール・バンネル反応(Paul-Bunnell反応)
熊谷 直秀
1
1東大分院内科
pp.536-538
発行日 1975年3月20日
Published Date 1975/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205900
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Paul-Bunmell反応とはPaul-Bunnell反応1),16),とは,感染性単核球症(Infectious Mononucleosis,以下 I. M.)の血清学的診断を目的とする臨床検査法である.患者血清を56℃,30分間で不活化し,生理的食塩水で倍数希釈した後,この列の各管によく洗ったヒツジの赤血球液を加え,室温(22℃)で2時間静置し,管底に沈殿したヒツジ赤血球の凝集の有無を肉眼で観察し,凝集を示した試験管の最高希釈倍数をもって,その患者血清の抗体価とする.
抗体価はI. M. と血清病できわめて高く,稀に他の疾患でも高い値の示されることもあるが,この3種の抗体はいずれもヒツジの赤血球に蛇する凝集素,すなわち異好性抗体(Heterophile Antibody)ではあるが,3種はそれぞれ異なったものであり,Davidsohn吸収試験2)によって鑑別される.すなわち,I. M. の異好性抗体は煮沸したモルモットの腎臓では吸収されず,ウシの煮沸した赤血球抗原で吸収されるが,血清病の抗体は両者で吸収され,他の疾患および正常者にみられるForssman抗体は,I. M. とは逆に,モルモット腎臓で吸収され,ウシの煮沸赤血球では吸収されない.
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