特集 超音波検査の技術と臨床
Ⅲ.循環器
8.心臓腫瘍
田辺 一明
1
,
盛岡 茂文
1
Kazuaki TANABE
1
,
Shigefumi MORIOKA
1
1神戸市立中央市民病院循環器センター内科
pp.1399-1402
発行日 2001年10月30日
Published Date 2001/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904944
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心エコー図は心臓内腫瘤性病変の診断,性状評価に欠くことのできない検査法の一つである.腫瘤性病変は腫瘍,血栓,疣贅あるいは正常構造物,心外構造物の鑑別が必要となる.通常は臨床症状と併せて腫瘤の大きさ,形状,場所,可動性,付着位置などから鑑別できることが多い.誤った診断は,必要のない手術など誤った治療方針を導くこととなり,正確な診断を行うことが大切である.本稿では,代表的な心臓腫瘍の心エコー図所見について解説する.
心臓腫瘍は心臓原発性のものと転移性のものとに分かれる.心臓原発の腫瘍は心臓腫瘍全体の5%以下の頻度で,残りの95%以上が転移性腫瘍である.心臓原発性腫瘍の多くは通常良性であるが,全身症状を伴ったり,塞栓症,不整脈,心不全の原因となることがある.このような合併症の可能性があることから,心臓原発の腫瘍はできる限り手術により取り除くことが勧められている.表1に原発性心臓腫瘍の頻度を示す1).成人で最も頻度の高い心臓原発腫瘍は粘液腫(myxoma)であり,脂肪腫(lipoma),乳頭線維弾性腫(pa-pillary fibroelastoma)が続く.小児で最も頻度の高い心臓原発腫瘍は横紋筋腫(rhabdomyoma)である2).
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