特集 細胞診―21世紀への展望
第5章 新技術・周辺領域技術の応用と展開
5.顕微測光法
小俣 好作
1
,
磯野 満
1
,
田中 昇
2
Kousaku OMATA
1
,
Mitsuru ISONO
1
,
Noboru TANAKA
2
1社会保険山梨病院病理部
2相互生物医学研究所
pp.1440-1444
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904598
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顕微測光とは
細胞の核や胞体内に存在する物質(DNA,RNA,蛋白など)を顕微鏡下に定量する光学的手段として顕微測光法(microphotometry)がある.これには吸光測光(spectrophotometry)と蛍光測光(fluorometry)の2種類がある.1930年代からCaspersson1)が腫瘍細胞の蛋白および核酸代謝の解析に用いたのは前者であるが,測定誤差の優劣から各施設で用いられているのは後者の顕微蛍光測光法である.また,最近ではカラー画像解析装置2)や共焦点レーザ走査顕微鏡3)を用いたDNA量測定を含めて,イメージサイトメトリー(image cytometry)と呼ばれ,フローサイトメトリー(flow cytometry)と対比される.この章ではわれわれが現在用いている顕微蛍光測光法について述べる.
細胞診では,その塗抹された細胞により腫瘍性,非腫瘍性の鑑別を行う.また腫瘍性とすればその良・悪性の鑑別を目的とするが,その補助的診断の1つとして顕微測光法を併用すると,悪性度や予後の判断など臨床病理学的な評価について客観的な指標が得られる.
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