特集 細胞診―21世紀への展望
第4章 判定の実際
22.尿:異型細胞の評価
金城 満
1
,
大谷 博
1
,
森岡 孝満
1
Mitsuru KINJO
1
,
Hiroshi OHTANI
1
,
Takamitsu MORIOKA
1
1琉球大学医学部病理学教室第1講座
pp.1359-1364
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904578
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はじめに
Virchow (1821-1902)は"Omnis cellula, e cel-lula"と言い,すべての疾病は細胞の変化に基づいていると述べた1).しかし,それを細胞レベルで診断に用いようとする試みは,1950年代になってからPapa-nicolaouによって尿中細胞の検査がなされたことに始まる.その後,幾多の変遷を経て,婦人科細胞診を中心に改良された.一方,尿細胞診は尿中の細胞の変性が強いこと,良性疾患でも高度の異型細胞が出現し,誤陽性が多いなどの点から敬遠されていた.しかし,われわれは過去13年間に原三信病院で年間7,000件に及ぶ尿細胞診を観察した結果から,尿細胞診は決して誤診の多いものではなく,有効に用いれば尿路腫瘍のスクリーニングや尿路腫瘍切除術後の経過観察に極めて有効な手段となることを強く意識するようになった2).
本稿では,これまでわれわれが対処してきた尿細胞診の診断に対する考え方と尿細胞診における異型細胞の見方について述べる.
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