COLUMN―形態検査において知っておきたいこと
異型細胞と正常細胞の鑑別
八木 靖二
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1癌研有明病院臨床検査第I部
pp.1240
発行日 2009年9月15日
Published Date 2009/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102647
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異型細胞検出の主目的は悪性腫瘍の発見にある.悪性細胞の形態学的特徴および出現パターンのそれぞれが異型性として表現され,これらの所見を有する細胞が異型細胞として総称されている.しかし,異型性を示す細胞は悪性病変だけでなく良性病変にも認められ,異型細胞の良性・悪性の鑑別が必要となる.
一般的に悪性病変に出現する異型細胞(悪性細胞)は良性病変に出現する異型細胞(良性細胞)と比べて,正常細胞との隔たりが大きく異型性が強いことから,両者の鑑別は多くが可能である.異型細胞は正常細胞に異常が生じて発生したものである.正常細胞と同由来の異型細胞は,色調や表面構造などの細胞質の性状が同様であったり,類似していたりすることが多い.
したがって,異型細胞の細胞由来を鑑別する場合も正常細胞の鑑別法を応用することにより,異型細胞であっても細胞由来の推定はほぼ可能である.実際の異型細胞の検出および鑑別に当たっては,良性病変・悪性病変それぞれに出現する異型細胞の形態学的特徴,および出現パターンを細胞の由来別に整理し,これらの鑑別法をあらかじめ捉えておくことが大切である.
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