臨床医からの質問に答える
尿沈渣検査で異型細胞が陽性なのに,尿細胞診では陰性と報告されました.この原因を教えてください.
大﨑 博之
1
1神戸大学大学院保健学研究科病態解析学領域
pp.538-541
発行日 2020年5月1日
Published Date 2020/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543208001
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
尿沈渣と尿細胞診は,ともに尿を遠心沈殿して得られた沈渣成分を顕微鏡で観察する検査である.そのため,尿中に癌細胞があれば,尿沈渣と尿細胞診の両方に癌細胞が出現する.しかし,時に同一患者の尿沈渣と尿細胞診で結果が異なることがある.特に,今回の質問のように,“尿沈渣で陽性,尿細胞診で陰性”という判定となった場合には,①尿を採取するタイミングや方法が異なっている,②尿細胞診標本を細胞回収率の低い方法で作製している,以上の2つが原因である可能性が高い.
本稿では,最初に“異型細胞”という言葉について確認した後に,今回の質問のような尿沈渣と尿細胞診で検査結果に違いがある場合の主な原因とその対策について私見を述べる.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.