今月の主題 糖化蛋白と蛋白のグリケーション
症例
糖尿病患者における赤血球膜上のクロスリンの動態分析
尾林 博
1
,
中村 耕
2
,
山口 満喜子
3
,
中埜 幸治
4
Hiroshi OBAYASHI
1
,
Kou NAKAMURA
2
,
Makiko YAMAGUCHI
3
,
Kouji NAKANO
4
1社団法人京都微生物研究所
2日本臓器製薬株式会社生物活性研究所
3京都第一赤十字病院内科
4公立山城病院内科
キーワード:
後期糖化産物
,
クロスリン
,
AGEs
,
糖尿病網膜症
Keyword:
後期糖化産物
,
クロスリン
,
AGEs
,
糖尿病網膜症
pp.294-296
発行日 2000年3月15日
Published Date 2000/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904338
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糖尿病性血管合併症の発症,進展における後期糖化産物(AGE)の病因論的,病体生理学的意義を臨床的観点から明らかにすることを目的として,血液試料による主要AGEの1つであるクロスリン(XL)の高感度酵素免疫測定法(ELISA)を確立し,糖尿病患者(合併症の有無により区分)の赤血球膜XL (EMP-XL)を測定し,その臨床評価を行った.糖尿病患者のEMP-XL量は健常者に比較して有意に高値であり,さらに糖尿病性網膜症を有する患者では網膜症を有さない糖尿病患者に比べ有意に高値であった.EMP-XL量の増加は糖尿病性網膜症の発症,進展に深く関与することが示唆され,EMP-XL量の測定は糖尿病性網膜症の発症,進展の有用なマーカーとなるものと考えられた.
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