今月の主題 21世紀に向けての寄生虫症
技術解説
幼虫移行症―病理組織標本での種の鑑別
石井 明
1
,
影井 昇
2
Akira ISHIH
1
,
Noboru KAGEI
2
1浜松医科大学医学部寄生虫学
2国立感染症研究所寄生動物部
キーワード:
幼虫移行症
,
H・E染色
,
鑑別診断
Keyword:
幼虫移行症
,
H・E染色
,
鑑別診断
pp.1610-1616
発行日 1999年12月15日
Published Date 1999/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904274
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幼虫移行症(larva migrans)は,動物を固有宿主とする寄生虫がヒトに感染し,ほとんど発育することはなく幼虫体のまま寄生し,重篤で診断困難な症状を引き起こす疾患を言う.従来寄生虫症の診断には成熟虫体の産卵現象を基に,糞便や尿,血液などの中に虫卵や幼虫を見いだす方法が行われているが,幼虫移行症では,特に組織内に虫体が侵入した場合,病理組織切片内に見られる虫体断端像での鑑別が必要となる.特に今後も経験する機会が多く,かつ組織標本内での鑑別の必要性が高いと思われる寄生虫を取り上げ,病理組織標本内での個々の寄生虫の鑑別に関して解説する.
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