シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
多発性内分泌腺腫症1型
浜口 和之
1
,
坂田 利家
1
Kazuyuki HAMAGUCHI
1
,
Toshiie SAKATA
1
1大分医科大学医学部第一内科
キーワード:
遺伝性内分泌腫瘍
,
直接塩基決定法
,
遺伝相談
Keyword:
遺伝性内分泌腫瘍
,
直接塩基決定法
,
遺伝相談
pp.1540-1545
発行日 1999年11月15日
Published Date 1999/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542904262
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はじめに
多発性内分泌腺腫症1型(multiple endocrine neo-plasia type 1;MEN 1型)は常染色体優性遺伝を示す遺伝性の内分泌腫瘍疾患である.さまざまな内分泌組織,なかでも副甲状腺,下垂体,それに膵や十二指腸の消化管内分泌腺組織などに腺腫ないし過形成の形で多発性に発生する.
Wermerらは副甲状腺と膵ランゲルハンス島に多発性に発生する腫瘍が遺伝性であることを1954年に発表した1).これがMEN1型に関する最初の報告例である.その後1961年には,遺伝性の甲状腺髄様癌と褐色細胞腫の合併例がSippleらによって報告され(Sipple症候群),これをMEN1型と区別して,多発性内分泌腺腫症2型(MEN2型)と呼ばれるようになった.MEN2型の病因は,第10番染色体(10qll.2)にあるRETプロトオンコジーンの点突然変異によることが1993年に確認された.1997年には,MEN1型の原因遺伝子がポジショナルクローニングによって明らかにされ,以来MEN1遺伝子の解析が相次いで報告されている.本稿では,MEN1型の遺伝子診断に関する最近の知見を紹介したい.
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